人を知る
求められるのは人や組織との丁寧なコミュニケーション。大規模な公共工事を進める醍醐味を感じられる仕事。

高橋 小夜佳
関東地方整備局
千葉港湾事務所
工務課 工務係長
2003年 入省
※所属はインタビュー当時のものとなります。
船舶の運航を支える港湾の公共工事を担当
入省のきっかけを教えてください
大学では建設工学科で土木系のことを学んでいました。就活当初は特に省庁を目指していた訳ではありませんでしたが、港湾局の仕事を知って、日本の貿易量の99%以上が港を通じた海上輸送であり、港湾が自分たちの暮らしに欠かせないモノであることや、岸壁や防波堤、臨港道路などの整備、防災・環境対策など仕事が非常に幅広く、事業規模も大きくて面白そうだなと。大学で学んだことを活かしつつ民間企業よりも多様な仕事に携われそうなのは魅力でしたし、旅行が趣味なので国の仕事はいろいろな場所で勤務できて楽しそうだなと思ったのが入省のきっかけです。

現在どんな業務を担当していますか
私がいま働いている関東地方整備局千葉港湾事務所では、千葉県内の港湾や海岸の整備、環境対策などを行っています。私は主に工事の実施における総合調整などの窓口を担当しています。具体的には、港湾をどのように整備していくか事業計画を立てたり、事業計画に基づいて工事を進めるための予算調整をしたり、国土交通省内や港湾管理者である千葉県、その他の関係者との連絡調整が主になります。

これまで担当されたのは主に港湾ですか
港湾と空港を担当してきましたが、全体では港湾が多いです。ひとことに港湾と言ってもそれぞれ担う機能も成り立ちも異なるので、公共工事を進める上では港湾ごとの背景やその周辺の立地状況、時代による変化、さらには将来的にどのように使われるかも見据えて計画を立てることが求められます。例えば、周囲に立地している企業が変わると港で取り扱う貨物も変わり、港湾に停泊するのがコンテナ船やタンカー、旅客フェリーなのか船の種類や大きさによっても求められる機能や整備する施設、構造が変わってきます。

たくさんの人と関わりながら完成を目指していく
これまでで印象的だった仕事はありますか
ある港で岸壁を作る現場を担当したことがあります。老朽化した岸壁を掘って作りかえるんですが、何せ古いので掘ってみると想定していないものが出てきたりするんですよね。そうすると工事がストップしたり設計変更が必要になったりします。しかし、船の就航スケジュールが決まっているので、工事が遅れてしまうと船だけでなく、船で運ぶ荷物にも影響が出てしまいます。どうしたら工期内に工事を終わらせることができるか、いろんな部署の人や工事を受注している民間事業者と協力して知恵を出し合いながら、1日単位で工程管理をして、なんとか進めることができました。船の就航に間に合ったときは本当にほっとしました。

仕事をしていてどんなところが面白いですか
もの作りをしている実感を得られるところですね。私は小さい頃から何かを作ることが好きだったので、工事現場の近くを通ったときなど、いろいろな作業機械やたくさんの人が作業していると、どうやって作っているのだろうと見入ってしまっていました。いまの職場から現場が近いので、日に日に構造物が出来上がっていく過程を見ているのは面白いですし、工事が完了したあとに利用されている様子を想像するととても楽しみになってきます。

逆に大変なところは
関わる人や組織が非常に多いので調整がとても大変ですし、丁寧なコミュニケーションが求められるところです。公共事業とはいえ、事業の実施には地元の方々の理解や協力が必要な場面も多くあります。何度もコミュニケーションを重ねて解決策を探っていくことが求められます。

人をどんどん繋いでいこうという空気がある
コミュニケーションが重要ということですが、高橋さんはもともと人と話すのは得意でしたか
いえ、むしろ苦手で(笑)。入省して3年目に霞が関の本省に配属されたのですが、全国から人が集まっていて知らない人ばかりの中で、それまでと全く違う業務になり、はじめのうちはどう対応したら良いかわからずにいました。でも、周りの人がいろいろ声をかけてくれて少しずつ話せる人が増えていき、知り合いから別の知り合いを紹介されて、だんだんとコミュニケーション能力がついてきた感じです。職場の人との食事や飲み会で仲良くなった人と、その後仕事で関わることもあったりしますね。おかげで今では全国に知り合いができました。

港湾局で仕事をする中で大切にしていることを教えてください
公共工事は予算も期間も規模が大きく、関係者や調整事項も多いため、関係者が協力して進めていくことが大事だと思います。そのためにも目的や課題の共通認識を図ることや、進捗状況などの情報共有も重要だと考えています。また、周囲に知識やアドバイスを求めることも多く、お互いに相談し合える関係の構築も心がけています。

ワークライフバランスの取れる人間関係の良い職場
港湾局は働いていて楽しいですか
楽しいです。もちろん大変なこともありますけど(笑)。港湾局のいいところだと思うのですが、とてもチームワークがよく、上下関係もあまり形式ばってないため、話しやすい空気感があります。
ワークライフバランスという点でもだいぶ働きやすくなってきたと思います。有給休暇も比較的自由に取れますし、男女問わず育児休業を取得されたりというのも最近はよくみられるようになりました。

今後どんな仕事をしたいですか
これまで10回ほど部署を異動し、今いる千葉港湾事務所のような現場系の部署から本省での政策関係の業務など比較的幅広い業務をさせてもらいました。それらを活かしながら、さらにスキルアップできて行けたら良いなと。これまで横浜、東京での勤務が多かったので、他の地域にも行ってみたいですし、最近のICT技術を活用した現場も経験してみたいと思います。

意見をしっかり言ってどんどん人に頼ってほしい
どんな人に向いていると思いますか?
意見やアイデアなどを積極的に言ってくれる人は向いていると思います。私自身がそうですが、ずっと仕事をしていると考え方が固まってしまい、他の考え方がしにくくなってきてしまいます。意見が違ってもなぜそう思うかをお互いに話し合いながら進めていくことで良い発展が見られると思いますし、ふとしたアイデアが課題解決の糸口になることもあります。
あとは一人で抱え込まないことですね。「この工事だったらこの人に聞けば詳しいかも」とか「このエリアだったらあの人に聞けば経緯を知っているかも」みたいな、どんどん上司や先輩を頼ってもらって、みんなで解決していくことが大切だと思います。私自身、係長という立場で新人を指導することがありますが、できるだけ声をかけやすい空気を作って気軽に相談してもらえるように心がけています。
就職活動中の若手にメッセージをお願いします
海外との貿易の窓口であり、私たちの暮らしを支えている港湾。グローバルな視点での政策立案や大規模な公共事業を実施できものづくりのやりがいもあります。 業務内容が多岐にわたっているので、それぞれの部署によって幅広い仕事を経験できるのが楽しいところだと思います。いろんなことに挑戦したいという思いのある人はぜひ一緒に働きましょう!