仕事を知る
地域の基幹産業の競争力強化、にぎわいの創出
はじめに
国土交通省では、我が国の経済社会を牽引すべく、港湾においても多岐に渡る取り組みを展開しています。我が国の経済成長の源となるのは地域経済であり、地域経済に活力を与える政策が重要となります。
港湾整備で物流効率化等が実現することにより、地域産業の発展に貢献します。また、港湾そのものが地域産業の投資拠点となり、港湾や港湾周辺へ産業の投資が進むことで、港湾を核とした地域産業の発展を支えています。港湾への投資は、新たな産業誘致や地域産業の再生、雇用創出、更なる民間投資の促進を誘発するなど、地域の発展や企業の国際競争力を高め、ひいては日本経済の成長を牽引していきます。
また、港湾には、クルーズや親水空間、防災など、さまざまなストック効果があります。港湾が中心となって、地域にうるおいをもたらしています。
普段あまり意識することがないかもしれませんが、港湾が暮らしや経済にどのような影響を与えているのか、ご興味を持って頂ければ幸いです。
次世代高規格ユニットロードターミナル
次世代高規格ユニッドロッドターミナルについて
まず、「次世代高規格ユニットロードターミナル」です。
内航フェリー・RORO船※による輸送は、近年のトラックドライバー不足や災害時の緊急輸送手段として非常に重要な役割を果たしています。
しかし、2024年度からの時間外労働の上限規制などにより、より一層トラックドライバーの労働力不足が懸念されます。
これに対応するため、国土交通省 港湾局では、必要な港湾整備や情報通信技術、自動技術を活用した荷役効率化などの取り組みを進めています。
※Roll On Roll Off:ロールオンロールオフ船の略で、船内に車両が自走して乗り込むことが可能な貨物船
取り組みによる効果

この取り組みによって、利便性が向上することにより、地域産業の投資の呼び水になっています。
農林水産物・食品の輸出促進
農林水産物・食品の輸出促進について
農林水産・食品の輸出促進は、我が国の産業の大きなウェイトを占めるものです。
「食料・農業・農村基本計画」において、2030年までに農林水産物・食品の輸出額を5兆円に引き上げる目標が掲げられました。
この目標に対して、国土交通省 港湾局では産地が大ロット・高品質・効率的な輸出に取り組むための支援策が進められています。
その一環として、産地と港湾の連携を強化し港湾やその周辺で不足している輸出機能を向上させる取り組みを行っています。
主な取り組みとその効果

- "産直港湾"で農林水産物・食品の輸出を支援
- 清水港における産地・港湾が連携した農産物等の輸出促進の取組
- 産直港湾「堺泉北港」を核とした阪神港等を通じた農産物の輸出拡大
みなとオアシス
みなとオアシス
港は、かつてから、地域振興の中心として機能してきました。
「みなとオアシス」とは、「住民参加による地域振興の取り組みが継続的に行われる施設」のことを指します。この制度は、地域住民の交流や観光の振興を通じた地域の活性化に資する「みなと」を核としたまちづくりを促進するために設立しました。申請に基づき、国土交通省港湾局⾧が施設の登録を行います。
みなとオアシスの役割

みなとオアシスでは、地域の魅力を引き出しつつ、住民が主体となってまちづくりに参加できる仕組みです。みなとオアシスの役割は次のものがあります。
- 地域住民、観光客、クルーズ旅客などの交流および休憩
- 地域の観光および交通に関する情報提供
- 災害時の支援、商業機能 等
みなと緑地PPP(港湾環境整備計画制度)
みなと緑地PPP(港湾環境整備計画制度)とは、官民連携により賑わい空間を創出しつつ老朽化した港湾緑地の整備を行うための制度です。
みなと緑地PPPの役割

みなと緑地PPPによって、港湾緑地というストックをより生かした、豊かな水辺空間が生まれます。
クルーズ振興
クルーズとは
クルーズとは、「船に乗ること自体を主目的のひとつとする、船での宿泊を伴うレジャー旅行」 であり、旅客は移動中には船内で食事やアクティビティを、寄港地では寄港地観光を楽しむものです。特に、大型クルーズ船は、船内に客室、レストラン、シアタ-の他、医務室や、託児所、ショッピングアーケードなども備えており、街ごと移動するような感覚です。 日本ではなじみが少ないかもしれませんが、欧米では多くの年代層がクルーズを楽しんでおり、一般的な旅行手段です。
現在、大型のカジュアル船や小型のラグジュアリー船まで、多様なクルーズ船が日本各地の様々な港に寄港しています。
クルーズ振興の主な取り組み
クルーズ船は日本各地の様々な港に寄港するため、クルーズ船の寄港による交流人口の拡大とそれによる経済効果を全国に波及させ、我が国の経済成長・地域活性化につなげていくことが可能となります。
そのため、主に以下の取組を進めています。
- 多様なクルーズ船を円滑かつ安全に受け入れるための、ハード・ソフト両面からの受入環境整備
- クルーズ船の長期的かつ安定的な寄港を実現するための官民連携によるクルーズ拠点の形成
- 寄港地での消費を船内等で喚起するスキームの構築や、クルーズ船寄港による地域経済効果の最大化へ向けた上質な寄港地観光造成
- 多様化する訪日クルーズニーズに対応したプロモーションや海外の国際展示会への出展等、訪日クルーズ寄港促進へ向けた取組
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クルーズ船の寄港で賑わう様子
全国の事例
港湾への投資は、新たな産業誘致や地域産業の再生、雇用創出、更なる民間投資の促進を誘発するなど、地域の発展や企業の国際競争力を高め、日本経済の成長を牽引しています。こうした地域の産業、経済、安心を支えている港湾の一部を紹介します。
茨城港

茨城港常陸那珂港区は、北関東地域の玄関口として、経済・交流活動を支える重要な港湾であり、北関東自動車道の開通も相まって、海上輸送の需要が増大しています。
新たな国際物流ターミナルを整備することにより、完成自動車貨物の取扱量が約3倍に増加しました。今後も、首都圏における建設機械や完成自動車の輸出拠点として、更なる発展が期待されています。
相馬港

港湾インフラ整備及び相馬・福島道路整備による物流機能強化により、鋼材加工メーカーやコメの低温倉庫が立地するなど、相馬港臨海部エリアでの約2,140億円の民間投資や約170人以上の雇用創出の実現に貢献しています。
須崎港
津波被害軽減のため防波堤を整備したことで、市街地における津波による浸水面積が縮減。そのほか港内静穏度が向上し、立地企業の稼働率も向上させることができました。
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剥離・損傷 -
ブロック破損